■嫁ブリ(よめぶり)とは
嫁ぶりは九州北部の漁村に始まった慣習です。
年末からお正月に欠かせないブリ、玄界灘沿岸の漁師村では当たり前だった年越しのブリをお嫁さんの実家に贈る慣習が、博多の町に広がり、さらに博多商人によって広範囲に伝えられて九州北部の慣習になりました。
北部九州には根強い慣習として残っていて、福岡・佐賀・熊本にお住いの方、または実家が福岡・佐賀・熊本のお婿さん・お嫁さんからのご注文が多いく、岡山県からもご注文があります。
福岡藩主だった黒田の殿様は岡山の方です。
黒田如水、黒田長政親子が博多にやってきて町人町博多の西側隣接地に新たに城を築いてつけた地名が自分たちの先祖の地名「福岡」です。余談ですが明治になって今の福岡市を博多市にするか、福岡市にするか議会投票で、一票差で福岡市になったそうです。
こうして博多の慣習であった嫁ぶりが岡山に伝わったものと思います。
嫁ぶり=よか嫁ぶり=よか嫁っぷり
結婚して初めての正月を迎える婿さん方からお嫁さんの実家にブリを贈ります。
「いいお嫁さんです、大切なお嬢様をいただきましてありがとうございました」
という意味の嫁ブリ。
「いいお嫁さん」を九州で「よか嫁 」と言います。
また、器量・気立てが良く働き者で嫁っぷりがいい 、〜っぷり、と、正月には欠かせない寒ブリのぶりの語呂合わせで「よか嫁ぶり」「嫁ブリ」となっています。ブリは出世魚で縁起のいい魚でもあります。
■嫁ぶり
の実際
嫁ぶりのサイズは5キロ〜7キロぐらい、12月28日〜30日着がおすすめ。
嫁ぶりにおすすめするサイズは5〜7キロ。
もちろん4キロぐらいの小ぶりでもかまいませんが4キロは見た目にもやや小さいんです。5キロからまあまあの大きさなので5キロからをおすすめしています。
毎年の嫁ブリご注文も5キロサイズがおよそ6割〜7割です。
嫁ブリは本来丸一本ですが、送り先の台所があまり広くはない、または大きな魚はさばけないということもありますので3枚降しでもお届けしています。
嫁ぶりのお届けは12月27日から30日着でのお届けが一般的です 。
中に12月20日とかということもあります。逆に12月31日、元旦のお届け指定もございます。
先方様があらかじめ届く日をご存知なら問題なしですが大晦日の一番慌ただしいときにブリが届いても冷蔵庫は満タンでどこに保管しようもない、元旦のゆっくりしたいときにブリが届いてもまた台所がちらかって、仕事が増えることになります。
※いただいた嫁ブリご注文の届け希望日が12/15とかの場合は念のため確認させていただくことがあります。
オススメは28日〜30日着。この日に届けば大晦日までに どうするか、先方様も余裕をもって対応できます。
嫁ぶりもらっても食べきれないのでは・・
小さくても4キロブリとしても、実家のご両親では食べきれないのではというご心配もあるでしょう。
嫁ぶりは吉兆縁起のしるし、祝いのおすそ分けしてあげてくださいと案内しています。
どのご家庭も少人数が多いです。ご両親二人では食べきれませんが、嫁ぶりは祝いのブリです、先方様でお召し上がりになる分と、先方のご親戚や親しいご近所に 「娘の嫁ぎ先から頂いたブリです、よろしければどうぞと」おすそ分けにお使いになります。
おすそ分けされたほうも「お嬢さんはきちんとしたお家に嫁がれたんだ」とわかります。
嫁ぶりの代わりにお金??
ネットの質問サイトなどで、嫁ぶり関連の質問に「嫁ぶり送っても食べきれないからお金を包んだらいかがでしょう」という回答がありました。
あなたは大事な娘を嫁がせて初めての正月にお金をもらって嬉しいですか?
多分嫁ぶりについてあまりご存じない方が 嫁ぶりはお歳暮代わりのブリ ぐらいの認識で回答されたと思うのですが、
「嫁ぶり代わりのお金」は先方様に失礼にあたります。
目下の人(子や孫)に品物よりお金で好きなもの買えるようにとお金を包むのはわかりますが、嫁ぶりは婿さんの実家とお嫁さんの実家の節目の御挨拶。「いいお嬢さんをいただきました、よか嫁さんです、ありがとうございました」の挨拶にお金をあげるのは礼を失する気がしておすすめできません。
結納の日に結納の酒も鯛も目録もなく、そんなの無駄ですから代わりにお金にしました、で喜ぶ親はいません。
小さくてもいいから吉兆縁起、感謝のしるし嫁ブリ。
嫁ブリが届くと、嫁がせた娘は大事にされているんだということがつたわります。これが大切なんですね。
嫁ブリが届かずお嫁さんのご両親がひどく立腹されたという話も数多く聞いています
嫁ぶりのおかえしは必要ありません
嫁ぶりにお返しは必要ありませんということもご案内しております。
北陸地方の一部にも嫁ぶり(こちらは嫁の実家から婿の実家に贈るようです)の慣習があり、いただいたブリの半身をお返しするのが作法のようです。九州・岡山ではお婿さんの実家からお嫁さんの実家へ、そして半返しの作法はありません。
正月になって嫁ぶりを贈られた方からお電話いただくのが「嫁ぶりのお返しはどうすれば・・・」ということです。
通常のお祝いやお見舞いみたいに半返しは必要ありません。後日嫁ぶりのお返しの品を送る必要ありません。
電話・ハガキなどで ご丁寧にありがとうございました。とお礼を述べていただければ十分です。
それじゃあんまり・・という方は、お菓子・お酒など高価でないものを「御礼」としてお返しになればよろしいかと思います。
■嫁ぶりは家と家との節目のご挨拶
節目のご挨拶なので、特別な「初正月」の熨斗
嫁ぶりは婿さんからお嫁さんの実家へのお歳暮、ではないんです。
嫁ぎ先である婿さんの実家からお嫁さんの実家へ贈るブリで、家と家のお付き合いの節目の挨拶です。
ですから熨斗はお歳暮ではなく「初正月」
の熨斗になります。
本来は新婚さんの初正月に、嫁ぎ先の両親もご一緒に、お嫁さんの実家にぶりを提げて挨拶に出向いていました。
お迎えするほうも、それなりの膳を用意してお迎えしていた大事な行事なんですが、現在では略式になり、正月に欠かせないブリを通販で贈るようになっています。
もちろん昔の作法のまま、ぶりを提げて挨拶に出向かれるご家庭もあります。
毎年のご注文でも、お婿さんの実家に届けるものが10件ほどあります。
昔ながらに、そのブリを持って嫁ぎ先のご両親と新婚のお二人と揃ってお嫁さんの実家にご挨拶に出向かれるようです。
嫁ぶりも送らん礼儀知らずか!
嫁ぶりは婿さんからのお歳暮ではなく、嫁ぎ先からからお嫁さんのご両親への節目の挨拶と書きました。
若い人だけの世帯という場合が多く、実家と別の県だったりすると「嫁ぶり」のことはわかりませんね。
九州が実家でも東京や大阪で知り合って結婚した若い二人には「嫁ぶり」のことなんかわかりません。
ここで気に留めていただきたいのが、お婿さん、お嫁さんのどちらも、またはどちらかが九州北部・岡山のご出身の場合です。「正月に家に電話したらひどく怒られた」「おまえの旦那は(嫁ぎ先は)嫁ぶりも送らん礼儀しらずか!」ということになる場合もあるようです。
大事な娘を嫁がせたのに初正月の挨拶もなしか!うちの娘じゃ不服か、ということなんです。
九州北部の慣習的礼儀ですから他県の人は知らない作法なんですが、「嫁ブリの慣習の残る地方のご両親にとっては大事な作法なんです。自分たちが結婚した年も、自分たちの息子が嫁さんもらった正月にもきちんと嫁ぶりを持って行った、きちんとしたお家柄なんです。嫁ぶりの意味をよくご存じだから、その挨拶がないことに立腹されるんですね。
自分は九州じゃないけど、嫁さんが福岡だからと嫁ぶりをご注文されて、お嫁さんの実家からとても喜んでもらった、というコメントも多くいただいています。
いいお嬢さんをいただきました、ありがとうございました
嫁ぶりは、大切なお嬢さんをいただきました、よか嫁さんです、ありがとうございました
、という意味のごあいさつです。
かわいがって育ててきた娘がきちんとした家に嫁いで嫁ぎ先の親にも暖かく迎えられている、と安心できます。
今年結婚して初めての正月を迎えるならぜひ、お嫁さんの実家に嫁ぶり、お願いします。
2年目以降は嫁ぶりは贈らなくていいですよ。結婚して初めての正月だけです。
嫁ぶりのご用命はこちらで承ります。
天然寒ブリ、嫁ぶり通販専門店「壱岐寒ブリの曽根」